2013年12月27日金曜日

まなざし

(このサイトについては、古いほうから順に読んでい

ただいたほうがよろしいかと思います。)

まなざし

 最近ニュースになったことだから、覚えている人も

たくさんいると思う。ローマ法王フランシスコ1世の

逸話である。フランシスコ1世が、難病のために差

別を受け続けてきた男性を抱きしめた話である。

そのとき男性の傍にいた身内の人は、「法王は何

も言わず、ただ心の奥深くまで届くような、それは

美しいまなざしで私の方を見た」(CNN)と、話している。
 僕もこのような「まなざし」に、一度だけ出会った

ことがある。まだ若かった頃のことである。その人は

、牧師でも僧侶でもなかった。この「まなざし」は、

その後、僕の心をいつもポカポカと温めてくれる目

に見えない懐炉のようになった。
 「那須与一、将に射むとす」(http://moriyamag.blogspot.fr/2013/10/blog-post_18.html)

の河合隼雄のウソツキ退職の項の末尾で、「日

本の小・中・高の教員たちは、生徒が転んだとき

、手を差し伸べようとする。それが、全人格的なも

のであるとき、自分の持っているものすべてを賭し

たものであるとき、そしてそれが生徒の心に伝わっ

たとき、大抵の生徒は自ら起き上がろうとする」の

中で、「それが、全人格的なものであるとき、自分

の持っているものすべてを賭したものであるとき」と

あるのは、このような「まなざし」を、脳裏に思い浮

かべていたかもしれない。しかし、それではあまりに

も荷が勝ちすぎていよう。平たく言えば、こういうこ

となのである。ひとりの人間が心配している、この

気持ちが相手の心に伝わりさえすればよいのであ

る。  

0 件のコメント:

コメントを投稿