2014年1月3日金曜日

サンタが橋の上からやってきた

サンタが橋の上からやってきた

 中米グアテマラで、「サンタクロースに扮(ふん)し

た消防隊員のエクトル・チャコンさんが橋を降下し

、貧困層の子どもたちにクリスマスのプレゼントを

配った」(Reuters)。もう16年も続けているそ

うである。そんなに裕福でもなさそうだし、有名人

でもなさそうなこの人物について、“聖人”という言

葉が思い浮かんだ。このような話に接したとき、一

応はその動機に自己顕示欲などの妙な夾雑物

が混入していないか検討してみる必要があろうけ

れども、この人の動機は純粋なのではないかと思

われる。たとえ、そうでないにせよ、貧しい子どもた

ちにとって、胸がわくわくする心踊る瞬間であったこ

とに変わりはない。世界中には、このような隠れた

聖人がたくさんいるにちがいない。

 どこかの国で、目くじら立てて、口角泡を飛ばし

て、「道徳教育だ。道徳教育をしないといけない

のだ」、「何だと?道徳教育に反対するだと?この

非国民め。厳重に処分してやる」と息巻いてる裕

福で、もしかしたら権力も握っているかもしれない

、名の知れたお偉方の皆様。少しは、橋を下りる

サンタさんの爪の垢でも煎じて飲ませてもらったほ

うがよいのではないでしょうか。

 道徳というものは、組織的・公的に教えては駄

目だと思う。あくまでも個人的・私的に教えるので

はないと意味がないであろう。塙保己一という人

はね、こんなにすばらしい人なのですよ、皆さん、

ぜひこのような生き方をしましょうね、ということを授

業で何べんも繰り返しても身にはつかない。例え

ば、近所のおじさんとか、親戚のおじさんから、塙

保己一という人がいてさ、こんなことをしたのだよ、

すごいね、と何気なく言われたほうがはるかに心に

残り、その子のその後の人生の肥やしになると思う

。そもそも道徳・道徳性の伝授というものは、1対

1でなされるべきものである。個人の人格性に乗っ

かって伝えられなければ身につかない。親鳥が巣

の中の雛鳥に、口移しで餌を与えるように行われ

るべきものである。それを公教育で、多人数の子

に一挙に伝えようとすると、その道徳性それ自体

が変質する恐れがある。そのような道徳教育を受

けた国民が多数になると、それこそ全体主義国

家へと、ひた走ることになる。道徳とか倫理というも

のは、公教育で扱うにそぐわない。その子どもが置

かれている環境、つまり家族・親戚・地域社会・

友人関係・サークル等で人為性を排した自然性

の中で育まれるべきものである。これを人為的・公

的・組織的に行おうとすると、道徳の画一化・普

遍化(道徳には、個別的・特殊的な性格もない

わけではない)がなされることになる。
 昨年(2013年)12月25日に文部科学省に

対して、正式に要望した。「心のノート」を、国が

配ったり配らなかったりしていれば、いい加減にやっ

ても全然やらなくても文句言いませんよ、というメッ

セージを添えて配布しているのだから、国費の無

駄遣いになる。それなら、おやめになったら如何で

すか、と意見を述べて要望した。12月27日まで

に回答してほしいと求めていたが、回答がなかった

。国民が正式に要望しているのに、無視するとは

何事だ。一体、どこを向いて仕事をしているのか。
 ところがその間に、「心のノート」の名称を改めて

、「わたしたちの道徳」としているのである。


「心のノート」をめぐる報道および文部科学省の発

表をピックアップした。「心のノート」という名称と記

事の日付、道徳の教科化という観点から見てい

ただきたい。

(以下、コピー)
(1) 朝日新聞 2013.4.5
道徳の教科化へ初会合 文科省懇談会
 文部科学省の「道徳教育の充実に関する懇

談会」が4日、初会合を開いた。道徳の教科化

を求めた政府の教育再生実行会議の提言を受

け、設けられた。学校向け教材「心のノート」の再

編集や教員の指導力向上策などを議論する。

委員は大学教授や小中学校長ら17人。座長

には鳥居泰彦・慶応義塾学事顧問が選ばれた




(2) 毎日新聞 2013年04月22日 東京

朝刊
道徳の教科化 どう進める??下村博文・文科

相インタビュー
(「メモ帳」を使っているので、一部文字化けしてい

る。「??」は質問者、「◆」は下村博文・文科相

の発言である。)

 ??教材はどうするのですか。

 ◆まず「心のノート」を全面改定し、それを来年

4月からすべての小中学校で教材として使えるよ

うに準備を始めている。今の「心のノート」も学習

指導要領にのっとって作られているが、本人が感

想を書く記述式のものだから教材としては十分で

はないと考える。

 ●心のノート教材に

 ??改定版はどのような内容になりますか。

 ◆中身は学習指導要領の通りだが、それを子

供に分かりやすいようにしていく。記述式の今の「

心のノート」とは違い、どの項目でもいいのだが、

物語的なものを使うことによって理解を深めるヒン

トを与えていくことを考えている。偉人の伝記を入

れてもいいと思う。特定の価値を押しつける偉人

だけを並べるということではなく、学習指導要領の

コンセプトに合った偉人の子供の頃のエピソードな

どを入れながら学んでいけるようにしたい。その教

材を家に持って帰って、親子で一緒に学べる環

境を作っていくことを考えている。

 ??「教科書」の位置付けにするのでしょうか。

 ◆教科書ではない。とりあえず来年は「心のノー

ト」の全面改定版を教材として作るが、それ以降

はそれを基本に民間会社が参入して教科書を作

ってもらうことも考えている。あるべき教科書の形と

いうのは今後、有識者の懇談会である「道徳教

育の充実に関する懇談会」で議論してもらう予定

だ。

 ●絶対評価は難しい

 ??道徳は授業時数を増やすのでしょうか。

 ◆今までと同様、週1回。そこで改定版の「心

のノート」を使ってくださいということだ。全員に無償

配布するから活用してもらいたいが、教科書では

ないので、自治体によっては副読本を併用すると

ころもあると思う。いい副読本もあるので地域の特

性を生かしながら実施してほしい。

 ??教科になると評価や教員免許はどうするの

ですか。

 ◆評価に関しては、国語や算数など他の教科

のような絶対評価や相対評価は難しい。有識者

懇談会でも、他の教科と違う評価の仕方を考え

るべきではないかと意見も出ている。一方、免許

は大学で教員養成課程の中に道徳という新たな

コースを設け、教授らを選任して……となると、これ

からやっても10年はかかる。すでに道徳はあるの

だから、免許がなくても学校の先生であればだれ

でもやれるはず。それなりの研修はさらに必要だが

、やれるところからやっていけばいいと思う。


(3) 文部科学省発表 平成25年11月22



道徳教育の充実に関する懇談会(第10回)の

開催について

  文部科学省では、教育再生実行会議の第

一次提言を踏まえ、道徳教育の更なる充実に

向け、道徳教育の現状や課題を検証しつつ、「

心のノート」の全面改訂や教員の指導力向上方

策、道徳の特性を踏まえた新たな枠組みによる

教科化の具体的な在り方などについて検討を行

うため、「道徳教育の充実に関する懇談会」の第

10回会議を以下のとおり開催いたしますのでお

知らせします。(以下略)


(4) 東京新聞 2013年12月25日 朝刊
二十四日に政府が決定した二〇一四年度予算

案は、過去最大の歳出額という見かけ以上に、

政権の意図がにじむ予算といえる。
教育費では心の領域である道徳教育費を倍増

した。
文教関係予算では、「道徳教育の抜本的改善

と充実」として、関連費を前年度から六億円増や

し、約十四億円とした。小中学生に新「心のノー

ト」を配布するほか、教員の指導強化費などに充

てる。


(5) 時事通信 2013/12/26-12:11

新「心のノート」、1.5倍に=道徳教科化、15

年度にも-文科省
 下村博文文部科学相は26日の閣議後記者

会見で、全面改定して来春から配布する小中学

生向け道徳教材「心のノート」の内容を発表した


 新しい名称は「わたしたちの道徳」。偉人などを

題材とした「読み物」を盛り込んだり、いじめの未

然防止につながる題材を取り上げたりして、分量

は従来の1.5倍程度に増えた。
 また、道徳の教科化を検討してきた有識者会

議の鳥居泰彦座長(元慶応義塾長)は同日、

他の教科のように5段階などの数値評価を行わ

ない「特別の教科」とした上で、検定教科書の使

用を求める報告書を下村文科相に提出した。
 文科省は年明けにも中央教育審議会に諮問

。学習指導要領の一部改定を経て、早ければ2

015年度にも先行実施される見通し。


(6) 文部科学省発表
全面改訂版「心のノート」について
平成25年12月26日

文部科学省では、道徳教育の更なる充実に向

けて、「心のノート」の全面改訂作業を行ってきま

した。このたび、その作業がほぼ完了しましたので

、以下のとおり改訂版の名称と現時点での構成

表についてお知らせします。

1 名称及びページ数

小学校1・2年 「わたしたちの道徳」 (総ページ

数160)

小学校3・4年 「わたしたちの道徳」 (総ページ

数176)

小学校5・6年 「私たちの道徳」    (総ペー

ジ数192)

中学校     「私たちの道徳」    (総ペー

ジ数240)
(以下略)


(7) 日本経済新聞 2013/12/27

0:31
新道徳教材の概要公表 「心のノート」改訂、

1.5倍に

 文部科学省は26日、国が作成する新たな道

徳教材の概要を公表した。従来の「心のノート」

を大幅に改訂し、「私たちの道徳」と名付ける。ペ

ージ数を1.5倍程度にし、東日本大震災被災

地の学校の活動やスポーツ選手の活躍を取り上

げる。

 文科省によると、被災地を元気づけようと学校

新聞づくりに取り組む岩手県大船渡市立第一

中学校の活動や、シドニー五輪の女子マラソンで

金メダルを獲得した高橋尚子さんのエピソードを

紹介するという。

 下村博文文科相が就任直後に、「道徳教育

を充実させたい」として改訂作業を指示していた。

 文科省の有識者会議は今月、小中学校の道

徳教育を教科化し、検定教科書を使うよう提言

する報告書をまとめており、座長の鳥居泰彦慶

応義塾学事顧問が同日、下村文科相に手渡し

た。

 文科省は来年度にも学習指導要領を改定す

る方針で、下村文科相は「基本的な社会のルー

ルを学ぶ機会がないまま子供が成長している。今

後、中教審で報告書に沿った議論をしてもらいた

い」と話した。


(8) 朝日新聞 2013年12月27日05時

00分
道徳の教科格上げを報告 検定教科書導入も

盛る 有識者会議

 文部科学省の「道徳教育の充実に関する懇

談会」(座長=鳥居泰彦・慶応義塾学事顧問)

は26日、小中学校の道徳を教科に格上げする

報告書を下村博文文科相に提出した。検定教

科書や子どもの評価の必要性も指摘。「決まった

価値観の押しつけにつながる」と懸念も根強いが

、文科省は2015年度からの一部実施を検討し

ている。
(中略)
 一方、文科省は26日、「心のノート」に代わっ

て来春、新教材「私たちの道徳」を全国の小中

学校に配ると発表した。偉人伝や格言などの読

み物資料が大幅に増えた。下村文科相は同日

の記者会見で「授業や家庭で活用しやすい内容

とした」と説明した。


(9) 【文科省】1つの答えだけではない主体的

な道徳教育へ…12/26下村大臣会見
リセマム 2013年12月26日 21時32分

(2014年1月2日 06時38分 更新)


下村文部科学大臣定例記者会見のようす

 下村博文文部科学大臣は12月26日の定例

記者会見で心のノートの改訂版「私たちの道徳」

が完成へ、1つの答えだけではない主体的な道徳

教育を行うこと、などについて発言した。

◆12月26日のテーマ
1つの答えだけではない、主体的な道徳教育へ(

0:16~)(7:38~)

・1つの答えだけではない、主体的な道徳教育へ
 道徳の教科化の検討と並行して行われてきた

心のノートの改訂・編集がほぼ完成し、「子どもた

ちひとりひとりが自分でしっかりと考えながら道徳

心を培ってほしい」との願いを込めて付けられた新

たな名称「私たちの道徳」も公表された。2014

年4月から使用できるよう全国の小中学生に配

布される予定だ。
(以上、コピー)


 2013年12月26日ごろに、「心のノート」とい

う名称を改めて「私たちの道徳」(小学校低学年

・中学年は「わたしたちの道徳」)としたわけである

。僕が、「心のノート」を廃止してほしいと要望して

いる間に、返事もしない、回答もしないで、こんな

ことをしていたわけである。「心のノート」という名前

を棄てても、新しい冊子が「心のノート」を継承し

たものであって、「心のノート」(改訂版)と呼ぶべき

性質のものであることに変わりはない。「私たちの

道徳」の中味・内容は、「心のノート」を発展した

ものにすぎない。そして、これが将来の道徳の教

科書になるのである。
 そもそも「心のノート」は、Hayao Kawaiが

中心になって作成したものであるから、その本質

的性質はユング心理学に基礎を置くものであり、

子ども達をカウンセリング(=マインドコントロール)

してやろうという意図を有するものである。本来な

らば、これは道徳とは無縁なものである。かといっ

て、国語科に含めることもできなければ、社会科

にすることもできない。それならば、道徳に一応属

するものであるとするほかなかろう、ということで道

徳の副教材としたのだろう。2013年12月26日

に、「心のノート」を無理やり道徳の範疇に入れて

、将来の道徳の教科書の前身にしたのである。や

っていることが、めちゃくちゃではないか。
  「心のノート」を作成したHayao Kawaiは

、犯罪者(2回のウソツキ退職)である。高校勤

務時代のKawaiの教え子は、2千人から数千

人いるはずだが、Kawaiがタレント以上の有名

人になっても、誰ひとりとしてKawaiの思い出話

を語ろうとしない(「那須与一、将に射むとす」

(10月18日付)参照)。余程、非人間的な冷

たい数学教師だったのだろう。日本臨床心理学

会で、子どもの心理検査について、その非人間

的な取り扱いを批判されると、カンカンに怒って学

会を飛び出す(「冷血動物著「心のノート」

(2013.12.24付)参照)。「日本ウソツキクラ

ブ会長」などと、ふざけた、人を馬鹿にした発言を

行う。このような人物が作成した「心のノート」の後

継版を、道徳の準教科書にしようとしている。しか

もユング心理学は、悪を否定しないのである。こ

れを、道徳の準教科書にしようというのか。鳥居

泰彦(Yasuhiko Torii。「道徳教育の

充実に関する懇談会」座長)、下村博文

(Hirobumi Shimomura。文部科学大

臣)、安部晋三(Shinzo Abe)そして文部

官僚、お前たちの頭の中はどうなっているのか。お

前たちこそ、道徳教育を受けなければならないの

ではないか。


 要するに、当初は「改訂版 心のノート」を作るつもりであったのである。その原稿も、既に出来上がっているかもしれない。あとは、出版社に注文して製本するだけだろう。ところが急遽、2013年12月26日に、「心のノート」という名前を棄てて、「わたしたちの道徳」にすることにしたのである。何故だろう。僕が、2013年12月25日から27日にかけて、「心のノート」をおやめになったらいかがですか会計検査院が黙って見ていないでしょうと要望している間のことである。もしかしたら、会計検査院の会計検査が怖かったのだろうか。それは、そうだろう。官庁というものは、会計検査院が怖いに決まっている。「心のノート」との連続性を断ち切りたかったのだろうか。しかし、それは名称を変更しただけであって、中味はまったく変わっていない。非人間的で不道徳なHayao Kawaiとは 訣別したいということを意味しているのだろうか。



 今の子どもは、かわいそうだ。地域社会での大人や子どもとの関係が希薄になった。人格を通して、近所のおじさんやおばさんから教えてもらうことも稀だろう。子ども同士で泥まみれになって遊ぶこともない。外出するのは、せいぜい塾通いのときだけだ。遊びといえば、コンピュータ・ゲームだろう。それならば、せめて考える力を身につけてもらおうではないか。そうすれば、自分の力で道徳性さえも獲得することが可能になるかもしれないのである。電車の中で人をたたき起こしておきながら、我関せずとばかりHayao Kawaiの『心理療法序説』の書名をひけらかすように読んでいた大学生(「冷血動物著『心のノート』」December 24, 2013)は、考える力が欠落しているのである。Hayao KawaiやDaisaku Ikedaが不道徳なの、やはり考える力がないからである。
(青地部分は、追加事項)

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